話し合い(民主主義)で問題を解決するとしても、越えてはならない一線があります。

 人として生まれたからには、必ず保障されなければならないことがあります。

 それが、人権です。

 持っている権利を行使すること。

 この一線を踏み越えられないこと。

 踏み越えられた時には速やかに回復できること。

 その土台の上にこそ、より平和的な民主主義を育むことができます。

無償義務教育

 就学前教育(日本でいう幼稚園)、小学校6年間、中学校3年間は無償義務教育。どんな田舎にも、子どもが1人でもいれば必ず学校があり、すべての子どもたちはその状態にかかわりなく学校に行くことが保障されています。

 ただ、近年流入してきたニカラグア人などの人口が増大し、貧困層を形成しています。その親たちに働かされるなどして学校に行っていない子どももまだまだいます。絶え間なき努力が必要とされています。

窓口負担無償の公立病院

 公立の病院は3段階に分かれています。通常、最初にかかるのはEBAISと呼ばれるクリニック。ここで扱えないと判断された病気やケガは地域の中規模病院で診療を受けることになります。さらに重篤な場合は首都サンホセ中心に展開されている大規模総合病院に移されます。どこも窓口負担は無償です。

 医療制度は、日本に似たいわゆる「国民皆保険制度」です。労使折半の保険料と税金で医療費は賄われています。ただし、保険料が払えない人も無償で医療が受けられるというところが日本との違いです。

誰でも、いつでも人権侵害を訴えられる憲法小法廷

 それでも守りきれない人権がたくさんあります。

 だから最高裁判所の憲法小法廷には、毎日のように訴えが届きます。

 その数、年間1万5千件以上。

 24時間365日、子どもでも外国人でも、憲法に関する事案だけでなく、一般的な人権侵害事案も受けつけています。

 米国のイラク侵略を支持した大統領に違憲訴訟を起こして勝訴した大学生の話は有名ですが、それ以外にも自分の通勤車を停めるために校庭を使用禁止にした校長を小学生が訴えて勝訴するなど、子どもたちも有効にこの制度を利用しています。

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